離婚したら加給年金・振替加算はどうなるの?
2014年05月9日
<9>離婚したら加給年金・振替加算はどうなるの?
[相談]
結婚以来、専業主婦として家を支えてきたのですが、夫の数回にわたる浮気、浪費、酒癖の悪さに
耐えかね、離婚を考えるようになりました。
知人に相談したところ、「そうなんだ。でもね、別れるなら65歳まで待ったほうが良いみたいだよ」と
アドバイスされたのです。
現在63歳ですが、どうして65歳まで待った方が良いのでしょうか?
[回答]
離婚した後に問題になるのは、年金受給者となった時の女性の受給額の低さにあります。
妻が第2号被保険者(厚生・共済年金加入者)である場合は、自分の権利として老齢基礎年金、
老齢厚生年金を受け取ることができますので、離婚したとしてもある程度の生活水準を確保できます。
しかし、第1号被保険者(国民年金のみ加入)と第3号被保険者(厚生・共済年金加入者に扶養されている妻)の場合は老齢基礎年金しか受給できません。たとえ夫が第2号被保険者で老齢厚生年金を受け取れる
資格があったとしても妻は受け取ることができないのです。なぜなら、老齢厚生年金は、あくまで夫名義の年金だからです。
ただし、夫の厚生年金から妻が年金受給できる手段として、振替加算という制度があります。
生計維持者であり20年以上厚生年金に加入している夫に扶養する妻がいる場合、老齢厚生年金に加給年金がつきます。
その後、妻が65歳になると、その加給年金が妻の老齢基礎年金に加算されるような形(妻名義)で支払われるようになります。これを振替加算といいます。
一度、加給年金が振替加算となって妻名義になると、その後、離婚になったとしてもその加算分は生涯、
妻名義で受け取ることができるようになります。
しかし、振替加算となる前に離婚してしまうと、加給年金の支給は停止となり、妻はその分を受け取ることができなくなってしまうのです。これが、巷で「離婚は65歳を過ぎてからの方が良い」といわれる理由です。
ただ、実際は、振替加算分を受け取れる年齢の65歳を過ぎてから離婚したとしても、年金受給総額は老後の女性一人の生活全部をまかなえるような額にはなりません。
そのため離婚するにあたっては、年金分割制度を利用するのが良いと思われます。