職業別の財産分与
財産分与の分配割合について
財産分与の原則は、夫婦の財産を2分の1ずつに分配する、というものです。
ですが、どちらかに卓越した才能があったり、客観的に見ても一方の貢献度が明らかに高かったりする場合には、例外的にその貢献度に応じて清算していくこととなります。
共働きの会社員夫婦の場合
原則、2分の1ずつとされることが多いです。極端な差がある場合を除き、夫婦の間の収入差は問題となりません。
夫婦で家業に従事している場合
基本的には2分の1ずつとされることが多いです。ですが、実際の事業経営が夫の経営手腕に負うところが大半であったようなケースで、妻の取り分をその分少なくした判例もあります。
夫が会社員で妻が専業主婦の場合
かつては妻の割合が20%〜30%とされていた時代もありました。ですが今は、家事・育児という妻の内助の功があってこそ、夫も稼ぐことができた、とする考え方が主流のため、実際の貢献度に応じて30%〜50%で認められることが多くなっています。
また、清算的財産分与や慰謝料だけでは離婚後の生活が苦しくなることが予想されるケースなどでは、扶養的財産分与を認められる場合もあります。
夫が医師や弁護士などで妻の貢献度が低い場合
夫が医師や弁護士などの高所得資格者であり、経営者でもあるようなケースで、高額な資産がある一方で、妻の貢献度が低い場合、2分の1ではなく、その貢献度に応じて具体的な財産分与の割合が決まることがあります。
過去の判例として、評価額4億円の共有財産に対し、妻の貢献度が低いことを理由に、その5%に当たる2,000万円のみを妻の取り分としたものがあります。
夫が上場企業の社長で巨万の富を築いた場合
夫が一部上場企業の社長であったり、株式公開により巨万の富を得たような場合、妻の貢献度の評価が難しくなります。
仮に妻が家庭を支え、財界人との公私にわたる交際を支えていたとしても、夫の類希なる才能と努力があってこその財産だと考えられるからです。
過去の判例の中には、夫が上場企業の社長として築いた220億円の財産のうち、専業主婦の妻に認められた割合は、5%に当たる10億円、というものがあります。
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