養育費
離婚後、子供をひとりで育てていくということは、監護・養育し、経済的にも保護していくということをひとりでするということで、決して簡単なことではありません。
そこで、経済的な面を補助するために親権者(監護者)は「養育費」を請求することが認められます。
養育費ってどういうもの?
養育費とは、衣食住費、教育費、医療費、娯楽費などの子供を育てていくために必要とする費用のことです。
離婚の際、子供の親権者(監護者)は非親権者(非監護者)に対して養育費を請求することができます。これは離婚していても親として当然支払ってもらうべき費用です。
養育費の支払義務は「扶養義務」ではなく、自分の生活を保持する程度の生活を、扶養を受ける者にも保持させる「生活保持義務」であるといわれています。
そのため、非親権者(非監護者)に「余裕のある場合は支払う」というものではありません。
「生活が苦しいので払えない」等の理由で支払義務を免除されるものでもなく、自分の生活水準を落としてでも払う義務のあるお金です。
一般的には、離婚の際に養育費についての取り決めをしますが、養育費についての取り決めをしないまま離婚してしまった、養育費はいらないと請求権を放棄したが後で事情が変わってしまったなどの場合でも、非親権者(非監護者)に養育費の支払請求することができます。
また、子供にも請求権はあり、親権者(監護者)が請求権を放棄しても、子供が養育費を請求することができます。
どれくらいもらえるの?
養育費の額は、受け取る側の経済力や生活水準で変わります。
現在は統計に基づいた算定表により算定をするのが基本ですが、話し合いで合意できれば算定表以上の金額を請求することもできます。
話し合いがまとまらない場合は、特別な事情があることを裁判官に説得的に主張しなければなりません。
例えば、非親権者(非監護者)が私立学校への進学を承諾している場合、養育費算定表には公立中学校、公立高等学校の教育費を考慮して計算されているので、その旨を裁判官へ説明・主張することになります。
養育費は請求した時点から支払いが発生します。過去に遡って請求することはできませんので、離婚の際はしっかり話し合いましょう。
請求ができる期間は原則として子供が成人する20歳までです。大学卒業の22歳までという場合もありますが、特別な事情がない限り認めてもらえないと思っていた方がよいでしょう。
期間や額が変わることってあるの?
基本的に、離婚の際に定めた金額・期間を変更することはできません。
ですが、養育費の支払いは長期間に及ぶので、その間に経済的事情が大きく変わった場合などは、
養育費の増額や減額が認められることがあります。
変更については、理由が正当であれば請求時点まで遡って認められます。