親権者とは別に監護者を置く場合
2014年05月9日
親権者とは別に監護者を置く場合
Case
現在、子供の親権をめぐって妻と争っています。
子供はまだ幼稚園なので母親の存在が必要なのはわかりますが、浪費癖が激しく世間知らずな妻に、
子供の将来の進路決定や預金管理ができるとは思えません。
そのため、私が親権者になるべきだと主張してきたのですが、知人から、監護者を妻に、親権者を私とする方法をとればよい、と聞きました。
親権者と監護者の違いはどこにあるのでしょうか?
Advice
親権の具体的な中身は、子供の監護教育、居所の指定、職業許可、財産管理、代理などです。
この中で、監護教育という部分に絞って、子供に対し権利義務を負うのが監護者です。
監護者は実際に子供と生活を共にし、身のまわりの世話やしつけ、教育を行います。
監護者を別に定める場合、親権者は監護以外の部分に関して権利義務を負うこととなります。
本来であれば子供の監護権は親権者がもつことが適切ですが、夫婦の一方に財産を管理する能力がない、
離婚する夫婦の双方がともに親権を譲ろうとしない、病気等の事情で子供に適切な監護を与えることが
できないといったような場合に、親権者と監護者を分けることがあります。必ずしも親が監護者になる必要はなく、たとえば両親がともに服役中であれば、祖父母が監護者になることもあります。
監護者の決定は、当事者の協議もしくは調停・審判の申立てによってなされます。
特に届出は必要ありませんが、後のトラブルを回避するために、親権者と監護者を分けた事実を明記した
協議書を作成しておけば安全といえるでしょう。
◆夫の家柄の関係で生じるトラブル夫の家柄によっては、離婚したとしても跡取りとなる子供の親権は渡せない、と姑が夫の親権を主張する場合があります。
子供の親権や監護権は、まず親が負うべき権利義務といえます。子供は家の所有物ではないため、姑がその親権を奪うようなことはできません。
本来は、夫婦間でどちらが親権者になるかを話し合うものですが、蒸発などの事情でそれができないこともあります。その場合、家庭裁判所に審判を求めることとなります。親権をめぐって夫と争う場合、「養育を補助する者がいるか」という点も判断基準のひとつとなるため、積極的に養育を申し出ている姑の存在が夫にとって有利に働く可能性があります。
なお、姑が面接交渉権を主張してくる場合があります。しかし面接交渉権は、離れて暮らす親と子が会う
権利であり、つまり父母にのみ認められた権利といえます。したがって姑が面会を求めてきても応じる必要はありません。
しかし、面接交渉権は父母の権利ではなく子供の権利である、とする考え方もあるようです。
この解釈によるならば、子供にとっては自分を大切に想ってくれる存在は多いほうがよく、祖父母とも面会できた方が有益といえるかもしれません。
親の事情がどうであれ、祖父母との面会が子供にとっての幸せに繋がるのであれば、頑として拒否し続けるのではなく、面会を認めてあげることも必要かもしれません。