審判離婚の手続きについて
2014年05月12日
審判離婚の手続きについて
■審判離婚になるケース
審判離婚とは、調停で一方が離婚に合意していなくても、家庭裁判所が調停委員の意見を聞いた上で、
独自の判断で離婚を言い渡す場合のことをいいます。
審判離婚になる可能性があるのは、下記のような場合です。
①離婚の合意が成立しているのに、調停の相手方が病気などの理由から超低期日に出頭できない場合
②離婚自体には合意するが、財産分与額などで話し合いがつかず、調停不成立になった場合
③調停で一旦離婚の合意が成立したが、当事者の一方が急に行方不明になり、調停期日に出頭しなくなった場合 など
■審判に不服の場合には意義の申立てをする
審判離婚の決定に対して不服の場合には、当事者は審判から2週間以内に異議の申立てをすれば、審判の
効力はなくなります。異議を申し立てる理由は特に制限はありません。
しかし、審判の告知を受けた日から2週間以内に異議の申し立てをしない場合、審判が確定して離婚は成立します。確定した審判は、判決と同様の効力をもちます。
審判離婚の場合も、役所の戸籍係へ離婚届を提出する必要があります。
この場合、離婚届の他に審判確定証明書および審判書謄本が必要になります。いずれも審判の後、交付申請をすることによって取得することができます。
■調停も審判も可能な場合と審判だけで決定される場合がある
審判の対象となる事項は、甲類と乙類の2つに分けられています。
甲類とは、当事者間の紛争とは直接的に関係のない性質のもので、離婚に関するものとしては子の氏の変更があります。これらは調停申し立てはできず、いきなり審判が行われ、下された審判に従わなければなりません。
乙類とは、申立人と相手がったの間で紛争となる性質のもので、離婚に関するものとしては、以下のものがあります。
・夫婦間の協力扶助
・離婚に際しての財産分与
・親権者・監護者の指定
・扶養に関する処分
乙類では朝廷と審判の両方の申し立てをすることが可能ですが、審判を申し立てた事件でも、家庭裁判所が必要と判断すれば、事件は調停の手続きにまわされます。その結果、調停不成立となった場合には、改めて審判手続きへと戻されます。
一方、離婚そのものや慰謝料請求などは、これまでに述べたように調停前置主義に基づいて、まず調停に
まわされるのが一般的で、調停が不成立に終わった場合には、家庭裁判所で訴訟手続きを行うことになります。
■審判には原則として本人が出席する
審判手続きは調停の場合と同様に、双方の当事者自身が出頭するのが原則です。
審判は本人の意思や事実関係を確認するだけではなく、当事者への尋問もあります。尋問に対しては、本人の考え方を述べてもらう必要があります。
このように家事事件では、当事者の考えや気持ちによって左右される事案が多く、合理性だけで判断して
審判を進めていくのは困難です。
ただし、慰謝料や財産分与をめぐるトラブルの場合、弁護士が代理人として手続きを進めることが多いです。しかし、確認が必要とされる場合には本人の出頭が命じられますので、原則を守るようにしておくことが大切です。
■審判の決定に不服の場合には
審判で下された決定に対して不服がある場合には、不服申立てをすることができます。これを即時抗告と
いいます。ただし、全ての審判に対して、即時抗告をすることができるわけではありません。
即時抗告できるものは、家事審判法と家事審判規則で定められており、財産分与、親権者及び子の監護者の指定やその他の子の監護に関する処分、扶養などに関する審判に対しては、即時抗告をすることができます。
即時抗告は審判の告知後、2週間以内に行う必要があります。 即時抗告がされると、高等裁判所で真理が行われることになります。
■審判にかかる費用と時間
審判申立書に貼付する収入印紙1200円(乙類審判の場合)、申立時に予納する切手800円(80円を10枚)で、合計2000円(乙類審判の場合)で済みます。特殊な鑑定などが必要な場合を除いては、
特別な費用がかかることはないでしょう。
しかし、財産分与などで、対象となる財産の価格を鑑定する場合(書画や骨董品、宝石等)には、専門的な鑑定が必要になりますが、当事者で取り決めれば鑑定の必要はありません。
審判にかかる時間は、一般的に数ヶ月程度ですが、場合によっては数年かかる場合もあります。
■調停や審判での弁護士費用と依頼方法
弁護士に仕事を依頼するときは、弁護士が用意する委任状に署名押印をします。
弁護士に支払う費用は、印紙代などの実費の他、着手金と成功報酬に分けられています。審判が不成立に
終わったり、申立てが通らなかったりした場合には、成功報酬を支払う必要はありません。