離婚したら年金はどうなるの?
2014年05月9日
<7>離婚したら年金はどうなるの?
・年金の種類
年金制度はどこが主体かによって、①公的年金、②企業年金、③個人年金の3つに分けることができます。この3つの年金の内、公的年金は、老齢、障害、死亡といった事由に 対して給付を行っています。国が
管理・運営する年金を公的年金といいます。
公的年金には、①国民年金、②厚生年金保険、③共済年金の3つの制度があり、20歳以上のすべての国民がどれかに加入しています。
このうち、国民年金は20歳以上の国民が加入し、厚生年金や共済年金の加入者も、厚生年金保険や
共済組合への加入と同時に国民年金に加入することになります。
その保険料は、厚生年金保険の保険料として集めた財源の中から、国民年金にまとめて拠出金が支払われ、共済組合も同様です。
・公的年金は現役世代負担!!
今現在、公的年金は現役世代の保険料負担で高齢者世代を支えるという「世代間扶養」といわれる仕組みになっています。
また、公的年金では、物価の変動に合わせて年金額を 自動調整する「物価スライド」や、「マクロ経済
スライド」といわれる制度を導入していて、さらに、5年ごとに年金財政の検証が行われています。
・年金制度の仕組み
日本の年金制度は三段構造になっていて、まず、土台として基礎年金(国民年金)があります。これは、
原則、強制加入となっていて、20歳以上60歳未満の国民全員が 国民年金に加入し、保険料を納付する仕組みになっています。
これに上乗せする形で厚生年金や共済年金が存在し、さらにその上に厚生年金基金などが上乗せされます。
厚生 年金には会社員、共済年金には公務員などが加入し、また、国民年金加入者は任意で国民年金基金に加入できます。
国民年金にだけ加入している人達を第1号被保険者といい、厚生年金や共済年金に加入している人達を
第2号被保険者といい、この第2号被保険者に扶養されている配偶者 を第3号被保険者といいます。
第3号被保険者は、保険料負担なしに最低限の年金保障を受けられます。対象は主に、会社員・公務員世帯の専業主婦の方々です。
共済年金と厚生年金制度は、別の制度ではありますが、給付内容については共通する部分も数多く見受けられます。
・老齢基礎年金
老齢基礎年金は国民年金から支給される年金で、老齢給付の基礎となる年金です。25年以上の加入期間(経過措置有)で受給資格を得、支払われる制度です。
①受給額
老齢基礎年金の額は「保険料を支払った月数」で決まりますので、20歳から60歳までの40年間の全ての月の保険料を支払った場合は満額で支給され、1年につき79万2100円(平成22年度価格)がもらえることになります。
②支給時期
老齢基礎年金は本来65歳から支給されるものですが、希望することで支給開始時期を60歳~64歳までの間にもらえるように早めたり、66歳~70歳の間でもらえるように遅くしたりすることが可能です。
ただし、受給開始時期を早めると減額されて支給され、その減額率が一生涯続き、取り消すことができませんので慎重にご選択ください。その他にも、寡婦年金(国民年金からの給付の1つで夫が死亡した場合に
妻に支給される年金のこと)がもらえないといったデメリットがあります。
・老齢基礎年金の仕組み
会社員のほとんどは、厚生年金に加入しますので、老後は老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受給する
ことができます。
①65歳を境に2通りに分かれる
老齢厚生年金は、60歳から受給できる60代前半の老齢厚生年金と65歳から受給する
本来の老齢厚生年金の2パターンに分けて考える必要があります。
老齢基礎年金の受給資格を満たした人で、厚生年金の加入期間が1月以上ある人は、老齢基礎年金と
合わせて、本来の老齢厚生年金をもらうことができます。
ただし、60代前半に老齢厚生年金を受給するためには厚生年金の加入期間が1年以上は必要になってきます。
②支給額
65歳からもらえる本来の老齢厚生年金の支給額は、老齢基礎年金と異なり、現役時代に給料が高く
たくさんの保険料を納めた人ほどたくさんの老齢厚生年金をもらえる仕組みです。つまり、納めた保険料額で決まります。
一方、60代前半でもらう老齢厚生年金については、65歳からの老齢基礎年金に相当する部分(定額部分)については、納付月数に応じて、65歳からの老齢厚生年金に相当する部分(報酬比例部分)については、現役時代の報酬額を基に支給額が決められることになります。
③支給時期
60代前半の老齢厚生年金の支給時期は段階的に遅くなっており、男性は昭和36年4月2日以降生まれ、女性は昭和41年4月2日以降生まれの人は、60代前半の老齢厚生年金を受け取ることができなくなります。
そのため、これらの人は65歳からの老齢厚生年金を繰り上げて受給することが可能です。
また、平成19年4月からは65歳からの老齢厚生年金を繰り下げる制度が創られた為、この制度を利用して支給時期を遅らせることも可能です。
・加入期間は25年以上必要!!
老後に年金を受給するためには年金加入期間が最低でも25年以上必要です。仮に25年を下回ると、
老後、年金を1円も受領できなくなってしまいます。
ただし、老齢給付の「25年」という期間はあくまでも原則で、年金制度の変遷によって損をする人が
出ないようにするために、生年月日ごとにいくつもの経過措置(特別措置)が用意されています。
加入期間には、国民年金、厚生年金、共済年金の公的年金で保険料を納めた期間(保険料納付済期間)が
すべて含まれます。会社員の妻(配偶者)は自分では納めていませんが納めたものとして取り扱われます。
・加給年金
加給年金とは、厚生年金受給者に配偶者(内縁の妻も含む)や18歳未満の子等がいるときに支給されるものです。これは、支給額も大きく厚生年金保険独自のメリットであり、国民年金にはないものです。
ここでいう18歳未満の子等とは、18歳になった後最初の3月31日までにある者、または、20歳未満で障害等級1級・2級に該当する者でいずれの場合も結婚していない者のことです。ただ、加入年金は、
配偶者が65歳になって配偶者自身の老齢基礎年金がもらえるようになると支給が打ち切られます。
その後、加給年金相当額は配偶者自身の老齢基礎年金に振替加算という年金給付に形が変わり、加算されて支給されることになります。
また、子供がいる場合の加算分はその子供が18歳以上(一定の障害者は20歳以上)になった時に
打ち切られます。
子供の加算分は、その子供が結婚したときに、年齢や障害状態に関係なく支給が打ち切られます。
・振替加算
振替加算は、加給年金の対象となっている妻自身が老齢基礎年金をもらい始めるときに上乗せされるお金です。ただ、加給年金ほどの金額はもらえません。
これは、妻の生年月日によって金額が決定されますが、若年者ほど少額で、昭和41年4月2日以降に
出生した者は0円になります。
これは昭和61年4月の年金大改正ですべての国民が強制加入(国民皆年金)となったために、
昭和61年以降に20歳を迎える者は自分の老齢基礎年金がもらえるはずだからという理由からです。