離婚後に慰謝料や医療費などの話し合いをすることは可能か
2014年05月9日
<18>離婚後に慰謝料や医療費などの話し合いをすることは可能か
[相談]
夫があまりにも家庭をかえりみないため離婚話を持ちかけたところ、合意に至りました。
3歳になる息子の親権は私が持つことになったのですが、養育費や慰謝料などの金銭面での折り合いが
つきません。
離婚手続きのみを先に済ませ、その他の話は後で決めることは可能なのでしょうか?
[回答]
夫婦間で合意したのであれば、財産分与や生活費などの細かい取り決めを行わなかったとしても、
協議離婚によって離婚を成立させることはできます。
しかし、離婚を急ぐあまり、ほとんど話し合いをもたずに手続きを進めるのは最善策とは言えません。特に金銭面での話は、後々こじれると解決が難しくなってしまうので、離婚手続きをする前に解決することが
望ましいといえます。もし話しに折り合いがつかない場合には、家庭裁判所が取り扱う家事調停という
手続きを利用できます。
家事調停とは、裁判官1名と民間選出の2名以上の家事調停委員で構成される調停委員会が、当事者双方の言い分を聞いてお互いが納得した上で解決できるように助言する制度です。話し合いは非公開とされ、
低料金で申請できるため、利用者が年々増え続けている制度です。
家事調停による取り決めは、「調停調書」にまとめられます。調停成立後に取り決めが守られない場合、
当事者の申し出によって裁判所から相手方に対して履行勧告、履行命令、強制執行などを段階的に
だしてもらうことができます。
万が一家事調停で話し合いがつかなかった場合、養育費の請求などについては家事調停という手続きに
移り、慰謝料について調停が不調になった場合、最終的には家庭裁判所に提訴して裁判所による判断を
求め、待つことになります。
・「養育費を求めない」と約束すると一切請求できないのか
離婚の際、親権をもらう代わりに、「今後一切養育費を求めない」という離婚協議書を作成した場合、
もしその後に事情が変わって金銭的に苦しくなったとしても一切養育費を請求することはできないのでしょうか?
離婚協議の際、「養育費を請求しない」と決めたことにはもちろんそれなりの効力が発生します。しかし、子供の養育などにかかる費用は本来父母共に負うべきものであり、子ども自身にも父母に養育を求める権利があるのです。
父母が自分たちの勝手な都合で養育費の負担分を増減させたとしても子ども自身の不要を求める権利はなくなりません。その為、協議離婚後に親権者の収入が病気や会社の倒産などで激減し、子どもの養育に支障をきたすような状態になった場合、子供の権利を親権者が代理してもう一方の親に養育費を請求できるとされているのです。
例えば、親権者である母の収入がなくなっている場合、子どもの養育環境を維持するのが困難であることは分かりきったことです。親には自分の生活と同じ程度の生活を未成熟な子供にさせる義務があるので、これを基準に元夫に養育費の請求をすることか可能ではあります。しかし離婚協議時の約束があるため、養育費の請求期間は通常通り、子どもが成人するまでではなく、あなたが一定収入を得られる再就職先を見つけるまで、とするのが妥当だと考えられます。