夫の退職金や年金は財産分与の対象となるのでしょうか?
2014年05月9日
<8>夫の退職金や年金は財産分与の対象となるのでしょうか?
ケース1
私たち夫婦は結婚して30年以上が経ったいわゆる熟年夫婦というものです。
子供たちも成人して独立し、かねてからの人生観の違いもあって離婚に踏み切る事にしました。
これまで協力して築いてきた財産も公平に分与することになりました。
ただ、あと2,3年で夫は定年となりそれなりの退職金が得られる見込みです。
そこで相談なのですが退職金は財産分与の対象となるのでしょうか?
また、年金給付も間もなく始まりますが、年金についてはどうでしょうか?
助言
退職金や年金はすでに受給している場合は財産分与の対象となります。
しかし、未払いの場合は難しいです。
①退職金とは
退職した労働者に対して通常退職金が支払われます。通常支払われる退職金については会社の就業規則や
退職金規定で定められており退職手当や退職慰労金の名目で支払われるものとなっています。
支払時期についても通常は就業規則や退職金規定で支払期間が定められています。定められていない場合は退職者からの請求後7日以内に支払わねばなりません。
支払方法については、一括払いではなく年金形式での支払いでもかまいません。
退職金の額についても通常は就業規則や退職金規定で定められています。具体的には、金額は退職者の
所属していた部署や地位、勤続年数等によって変わってきます。
結婚期間に応じて退職金も財産分与の対象になります。
方法は2通りあり、1つは退職金が将来支払われることを条件に財産分与の対象とする方法で、
例えば「将来退職金が支払われた時に、妻に、2分の1を支払え」と命じた裁判例もあります。
2つ目は、将来支払われる退職金を現在の金額に引き直して、その何割かを妻に支払うというものです。
②年金
年金とは毎年定期的に給付されるお金のことです。
その年金にはさまざまな種類があり、離婚の際に問題になるのが老齢年金といわれるものです。
年金についても、財産分与の対象です。
方法としては、これも2通りあり、1つは扶養的方法で、将来夫が受給する年金のうち妻の年金との差額の何割かを妻の死亡まで支給するというもので、2つ目は現時点での金額に引き直して清算的に離婚時に
支払うというものです。
なお、夫が会社印の場合は、厚生年金の一部を専業主婦である妻が、年金受給時に最大で2分の1まで
受け取れるという制度が設けられています。