財産分与が取り消されることはあるのでしょうか
2014年05月9日
<16>財産分与が取り消されることはあるのでしょうか
[相談]
昨年夫と離婚、夫の浮気が原因でした。財産分与で自宅を譲りうけました。
夫は自宅を譲り渡す前から愛人宅で暮らしておりましたが、最近になりマンションを借りている家賃負担が重い
ので、家を返してくれと言ってきました。
そんな話を受け入れられないと伝えた所、夫婦であった時の贈与は取り消しが出来るというように主張してきました。家を返さないといけないのでしょうか。
[回答]
家を譲り受けたのは、単なる贈与ではなくて、離婚の際の財産分与に該当します。民法では離婚時の
財産分与請求権を認めており、今回の贈与は離婚とは不可分のものであり、取消しが可能な夫婦間の通常の贈与とは性質が異なるものと判断できます。故に、自宅を前夫に返還する必要はありません。
ところで、前夫のいうとおり、民法は夫婦間の贈与は取り消すことが出来ると規定しています。(民法754条)
ただ、この規定は円満な関係にある夫婦に適用されることを想定した条項であり、すでに破たん関係にあるような夫婦間には適用される性格のものではないという理解が一般的です。
今回の場合で考えると、離婚の当時に、夫は愛人宅で暮らしており、夫婦の関係は破たんしていたと考えられます。
そこで、自宅の贈与が例え、離婚の成立前であったとしても、民法の取消しの規定は適用されないと考えられますので、家を返す必要はないということになります。