厚生年金の2種類の離婚分割について知ってますか?(合意分割、3号分割)
2014年05月9日
<10>厚生年金の2種類の離婚分割について知ってますか?(合意分割、3号分割)
[相談]
年上の夫と結婚して35年、子育ても一段落し、自分の老後を考えた時にもう一度自分の人生を謳歌したいと思うようになりました。
そこで、夫は昨年定年退職し、現在は年金暮らしなのですが、離婚にあたって、夫に支給されている年金の一部を妻である私が受け取ることは可能でしょうか?
[回答]
「離婚時の年金分割」とは、離婚すると女性の年金が少額になるケースが多いため、夫の分の年金を離婚後に妻に分割できるようにする制度です。
この離婚分割制度には、平成19年4月1日から施行されている合意分割制度と平成20年4月1日から
実施されている3号分割制度があります。
①合意分割とは
婚姻期間中に夫が納付していた厚生年金保険に該当する部分の年金の半分について、
将来、妻名義の年金として受け取ることができる制度のことです。
分割対象となるのは、あくまでも、老齢厚生(退職共済)年金に限られ、老齢基礎年金の部分に関しては
分割対象とはなりません。
報酬比例部分の2分の1を限度(共働きの場合は双方の報酬比例部分を合算して2分の1が限度)として、夫の合意を条件に妻自身の年金として受給できるようになります。
②3号分割とは
妻が第3号被保険者のときに、離婚の際に婚姻期間にかかる夫の厚生年金記録を夫の合意なしに(強制的に)分割してもらうことができる制度です。
但し、夫の合意が不要なのは平成20年4月以降の婚姻期間についてだけで、それ以前の分については
合意分割を利用することになります。
・年金分割の具体例
①合意分割の具体例
例えば、夫の年金額が老齢厚生年金約260万円(うち定額部分約80万円、うち加給年金約40万円)、妻の年金額が老齢基礎年金約50万円(65歳からの支給)、老齢厚生年金0円(脱退手当金受給のため)としましょう。
このケースでは妻の受け取る年金額は、老齢基礎年金の約50万円(月額4万2000円弱)だけという事になります。
一方、合意分割が成立すると、夫の年金額260万円の内、定額部分80万円と加給年金額約40万円の
合計120万円を分割対象から除きます。残りの140万円につき分割の基礎となる老齢厚生年金の額になります。
この140万円のうち、婚姻期間にかかる部分は140万円×(35年÷40年)=122万5000円です。
仮に、夫が年金分割に応じた場合、この122万5000円のうち50%にあたる61万2500円を限度として妻に分割されることになります。月額にして約5万1000円です。
つまり、受給資格を満たした場合は、老齢基礎年金と合わせて約9万3000円ほどの年金が妻に65歳
以降に支給されることになります。
②3号分割の具体例
妻が年金分割を請求した場合、例えば夫の標準報酬月額が38万円だったとすると、夫19万円、
妻19万円とういう記録に置き換えられ分割された厚生年金記録は、老後は妻の年金として計算されます。