婚姻費用分担請求
別居中に相手が生活費を渡さなくなってしまったら
別居時の費用 夫婦関係が悪化したり、離婚に向けて別居を始めたとたん、相手が生活費を払わなくなってしまった・・・。そんなご相談を良くいただきます。
ですが、たとえ別居中であっても、離婚が成立するまでは夫婦であることに変わりはありません。そのため、結婚生活にかかる費用は、収入などに応じてお互いに負担していかなければなりません(婚姻費用分担義務)。
つまり、一般的には夫(収入が多い方)が妻(収入が多い方)の生活費を支援する義務があり、妻は夫にそれを請求する権利があります。
婚姻費用分担請求の方法
もし夫婦の話し合いだけでは解決できないようであれば、家庭裁判所に婚姻費用分担の調停・審判を申し立てることができます。
婚姻費用分担額の計算方法
婚姻費用婚姻費用の金額は、夫婦の収入や子供の人数・年齢など、個々のご家庭の事情を総合的に考慮して決めていきます。
また、裁判所を通じて決める場合は、こうしたご家庭の事情をもとに「婚姻費用算定表」と呼ばれるものを活用して決められる形となります。
ちなみに、司法統計によると、夫が支払う婚姻費用の金額としては、約63%が毎月6〜18万円程度となっているようです。
婚姻費用分担請求が認められないケース
例えば、妻が不倫をし、愛人の家にそのまま住み着いた上で、婚姻費用を請求するような場合、「別居」と言っても妻側に一方的な責任があります。こうしたケースでは請求が認められなかったり、減額されたりします。
専門家からのアドバイス
後になって「過去にもらえるはずだった生活費を返してほしい」と請求しても、裁判所ではほとんど認めてもらえません。原則「請求した時点から」算定するのが裁判所の方針だからです。
そのため、もし相手方が正当な理由も無く、生活費を渡さなくなってしまったら、早めに協議や調停によって解決するようにしましょう。