年金分割について
年金は熟年離婚後の大切な生活費の足しだから
熟年離婚熟年夫婦が離婚する場合、良く問題になるのが年金分割です。夫がサラリーマンや公務員として外で働き、妻は専業主婦(又はパート)としてそれを支えてきたようなご家庭のケースに当てはまります。
長年主婦をしてきた女性が60歳を超えて就職先を探そうとしても、なかなか見つからないのが現実です。そのため、こうした経済的不安のために離婚を躊躇されている方も多くいらっしゃいます。
こうした方にとって、年金分割をすることで、たとえ月数万円であっても離婚後の生活費の足しにできるのであれば心強いでしょう。
主婦が年金分割でもらえる金額はいくらか?
では、これまで主婦だった人は、いったいいくら位もらうことができるのでしょうか?
その前に、年金分割でよくある誤解が、夫の年金全体の半分をそのまま受け取れる、と考えてしまうことです。
年金分割
ですが実際には、各種年金・基金のうち収入に応じて納付してきた2階部分と言われる「厚生年金保険(民間のサラリーマン)」と「共済年金(公務員等)」の一部のみが分割の対象となります。さらに、これらの年金のうち「婚姻期間中」に「既に納付したもの」を、夫婦で1/2(または1/2を上限として)に分割できる制度です。
尚、1階部分にあたる国民年金(基礎年金)は、25年以上納付してきた受給資格者であれば、各人ごとに支給されるため、問題ありません。
年金分割でもらえる金額の相場
司法統計(2012年度に家庭裁判所で審判された事案)によると、99%以上が制度上の上限である1/2で年金分割が行われました。
その上で、厚生労働省の発表(厚生年金保険を分割した受給者)によると、平均して約31,000円が毎月の年金金額に上乗せされたそうです。
また、50歳以上の方で、ご自身の年金加入期間が25年以上の場合、日本年金機構の年金事務所に申請を行えば、離婚前に夫に知られずに試算してもらうことも可能です。
年金分割の手続きとは?
夫婦の話し合いだけでは合意できない場合は、家庭裁判所に年金分割の割合を定める調停・審判を申し立てることができます。
その後、現住所を管轄している年金事務所に、年金手帳や離婚届、戸籍謄本、(合意分割の場合は按分割合を記載した公正証書など)を持参し、「標準報酬改定請求書」を提出することで請求を行うことができます。
尚、年金分割は、離婚の翌日から2年以内であれば、離婚後も請求可能です。
専門家からのアドバイス
年金分割の制度は2007年、2008年に改正されたばかりの新しい制度で、年金自体の制度もさることながら、分割方法についても「合意分割」や「3号分割」などがあり、複雑で分かりにくくなっています。
とは言え、年金分割は、双方の将来設計に大きな影響を与えますので、専門家の力を利用しながら、しっかりと取り決めていかれることをお勧めします。 離婚あんしんセンターでは、社会保険労務士と連携をしながら、年金分割や将来的な相続問題も含めた熟年離婚のサポートを行っております。 まずはお気軽にご相談下さい。