税金の問題
不動産の財産分与と注意が必要な税金の問題
家やマンションなど(不動産)の財産分与において、関係してくる税金としては4種類が考えられます。高額な資産だけに、手続きの不備などにより余計な税金がかかってしまうと、何十万円単位で損する可能性があるため、注意が必要です。
家を譲る側にかかる税金
譲渡所得税とは?
家を売ったり譲ったりする際に、その家を買った時の値段よりも高い場合、その差益分(=譲渡益)に対して課税されます。
財産分与時の不動産時価 > 不動産取得時の時価(建物については減価償却後の価額)=譲渡取得税の発生
判例では、離婚における財産分与でも、譲渡益が発生した場合、家を譲り渡す側に税金がかけられますが、今日の大半の不動産価格はバブル期以降下落しているため、譲渡益が出て課税対象となるケースは多くありません。
■もし譲渡所得税の課税対象となった場合でも
仮に譲渡益が発生する場合でも、実際に住んでいる家(居住用不動産)を譲り渡す場合であれば、以下の控除を受けることができます。ただし、別荘やセカンドハウスなど、居住用で無いものには適用されません。
譲渡相手が親族でない場合、時価3,000万円までの譲渡益が非課税となる
この控除を受けるためには、離婚届けの提出後に不動産の名義変更(所有権移転登記)を行う必要があります。また、この特別控除を利用すると、新たに家を購入する際に、住宅ローン控除を使うことができなくなります。
2. 家をもらう側にかかる税金
a. 贈与税とは?
1年間に一人の人から年間110万円より多く財産を受け取ると、贈与税の課税対象となる可能性が出てきます。ですが、離婚に伴う財産分与や慰謝料については、原則、贈与税は課税されません。
ただし、分与された財産の額が、全ての事情を考慮しても、社会通念上「妥当」な範囲を超えている場合には、その超過分に対して課税されることがあります。
■もし贈与税の課税対象となってしまっても
居住用不動産であれば、離婚前に名義変更(所有権移転登記)を行うことで、以下の控除を受けることができます。 ■ 婚姻期間が通算20年以上の夫婦間で贈与される場合、2,000万円の配偶者控除が認められる
b. 不動産取得税とは?
家やマンションなどの不動産をもらう側に対して、固定資産評価額の3%(土地についてはその2分の1)の不動産取得税が課税されます。ですが、離婚に伴う夫婦の共有財産の清算(清算的財産分与)により受け取る場合であれば、もともと持っていたものを扱うのみ、と考えられ、課税されることはありません。
一方、不倫などの精神的苦痛に対する慰謝料として受け取る場合には、不動産取得税が課税されてしまいます。
c. 登録免許税とは
財産分与の結果、不動産の名義変更を行うことになった場合、その登記費用として固定資産評価額の2%の登録免許税が課税されます。
■もし不動産取得税や登録免許税がかかる場合でも
夫婦間の協議や調停などにより、これらの税金も譲り渡す側が支払うように取り決めることは可能です。