『財産分与・慰謝料の具体的な支払方法はどうなっているのでしょうか?』支払時期、金額などを定めて公正証書にしたほうがよいのか?
2014年05月9日
<15>『財産分与・慰謝料の具体的な支払方法はどうなっているのでしょうか?』支払時期、金額などを定めて公正証書にしたほうがよいのか?
・可能な限り分割払いはさける!
財産分与や慰謝料などの支払いは、分割せずにできるだけ一括ですませるほうが無難です。
分割にする場合でも、最初に支払う頭金を多くするなどの工夫を心がけましょう。
遠方に引っ越してお互いの距離が物理的に離れたり、再婚したりすればなおさら、
支払いがとどこおることにもなりかねません。
・決定事項は必ず書面で残す
協議の結果、分割払いに決まったときに、支払の時期、金額、方法についてなど、とり決めたことを必ず
強制執行受諾文言入りの公正証書として書面で残すようにしましょう。このようにしておけば、万一相手が取決めを守らないようなトラブルが生じても、公正証書にもとづいて相手の財産を差し押さえるなどの
強制執行が可能です。このとき証書には、「分割金を一回でも支払わなかった場合は、残金を一括して
支払う」のような一文を必ず記載すべきです。
公正証書の作成には、実印と印鑑証明書が必要です。これらを用意し、公証役場に行って証書を作成して
もらいます。このように、金銭的に決定したことや金銭面に関することについては、公正証書を作成する
のが鉄則です。もし、公正証書にしなかった場合で後日、財産分与や慰謝料をなどのトラブルが発生した
ときには、相手方に内容証明郵便を送付する方法もあります。また、財産分与により不動産を譲り受ける
場合、所有権移転登記は確実にすませておかなければなりません。
・内縁の場合にも財産分与や慰謝料請求が可能です。
内縁の場合、相続権がないなど原則として婚姻としての法律の保護を受けることはできないのですが、
内縁関係を解消するときには財産分与や慰謝料を請求することが可能です。
婚姻関係の場合と全く同じというわけではありませんが、準婚関係といって、内縁関係でも結婚に準じた
あつかいがなされ、婚姻に関する民法の規定が類推適用されます。
内縁関係だからといって家にお金を入れなかったりすれば「協力扶養義務」違反となります。
もちろん、貞操の義務もあるわけですから、身勝手な不貞をはたらけば、通常の婚姻と同様、慰謝料を請求されることになります。
しかし「結婚する意志」や「夫婦同然の生活」は、はっきりした線引きが難しいところで、場合によっては、内縁関係は、同棲や単なる共同生活とも解釈されてしまいます。内縁の場合は、通常の夫婦の離婚の
ようにはいかないのが現実です。
調停では、財産分与や慰謝料の額を決めてくれる たとえば調停離婚の場合、両者が調停でうまく合意し、調停が成立すれば、裁判所側が調停調書を作成します。当事者双方が同意すれば調停で慰謝料や財産分与をきめてもらうこともできます。
もし、合意に至らず、調停が不成立となった場合、家庭裁判所の職権によって審判に付されることもあります。
そしてこの審判において、財産分与、慰謝料について決めることもあります。その後2週間以内に当事者が異議申し立てがあった場合は、その審判は効力を失い、さらに訴訟を提起することになります。
離婚後に、離婚時と状況が変わったからといって財産分与や慰謝料について認めてもらうのは難しいでしょう。ただし、相手が相手が不倫を隠していたり、無理やり念書を書かされたという場合には、一定期間内であれば慰謝料請求や財産分与のやり直しが認めれる可能性があります。