戸籍の扱いについて知っておきましょう
2014年05月9日
戸籍の扱いについて知っておきましょう
戸籍謄本を見るとその人の離婚歴がわかってしまいます
・離婚するとどうなる?
離婚した場合、その戸籍がそのまま除籍簿に移されるということにはなりません。
除籍簿とは、婚姻や離婚などで戸籍簿からのぞかれたものにつきまとめた帳簿のことです。
筆頭者ではない夫または妻のひとりだけが、戸籍から除籍されることになります。
除籍された者には、婚姻前の戸籍に戻るか、自分自身を筆頭者として新戸籍をつくるかという2つの道が
あります。
離婚届に「婚姻前の姓にもどる者の本籍」の記載欄があり、その内容に沿って戸籍が復帰もしくは編製されることになります。
この際、除籍される者は婚姻前の姓に戻るのが原則とされていますが、「長期間なじんでいるから」「周辺に離婚したことを知られたくない」などで婚姻中の姓をそのまま使いたいと希望する人もいますので、
その場合は、離婚成立から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出すれば、婚姻中の
姓を使うことが認められています。
離婚には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚がありますが、戸籍の身分事項欄には、そのいずれによるものなのかが明記されます。
裁判離婚の場合であれば判決の確定した年月日が、調停離婚では調停成立年月日が記載されます。
なお、離婚の事実が戸籍に反映されるのは離婚が成立して届が正式に受理された後です。
離婚協議がこじれて裁判などになってしまった場合、離婚を認める判決がでるまでは戸籍はそのままの状態を維持されます。
戸籍だけでは離婚歴の有無がわからない場合もあります
離婚した場合、夫婦の一方は除籍されます。
この際、筆頭者の戸籍簿には離婚の事実、離婚日などが記載され、除籍される人の名前の上には、戸籍から消されたという意味のバツ印がつけられます(いわゆる「バツ1」「バツ2」)。
ただし、バツ印が使われるのは縦書きの戸籍だけで、磁気ディスクに移行後に発行される戸籍証明書には「除籍」という文字が印字されているだけです。
除籍された側の戸籍には、離婚日、元の配偶者の氏名等が記載されます。
これらの記載がされた戸籍謄本を見るとその人の離婚歴が判明するのですが、中には「離婚したけれども、戸籍にはそのことが載っていない」という場合もあります。これは、何らかの形で戸籍を動かしたときに
生じることです。
例として、離婚して親の戸籍に復籍していたが、分籍して自分が筆頭者となる戸籍を新たに作った場合や、婚姻中の戸籍をそのまま引き継いでいた男性が転籍を行った場合などがあります。こういった場合、
出生年月日など元の戸籍の内容が新戸籍に引き継がれるのですが、離婚などの事実は引き継がれません。
これを悪用した結婚詐欺なども起こっていますので、知っていて損はありません。
戸籍にはどう記載されるのでしょう
佐藤一郎さんと田中花子さんが、夫の一朗さんを筆頭者として佐藤という氏を称する婚姻をした後、
協議離婚をした場合、戸籍にはどのように記載されるでしょうか。
夫の欄には「年月日妻花子と協議離婚届出」と記載されます。
妻の方は、原則、①婚姻前の戸籍(田中)に戻るか、または②単独の新戸籍を作ります。
①の場合「〇県〇市田中○○戸籍に入籍につき除籍」、②の場合「○県〇市に新戸籍編成につき除籍」と
記載され、①②とも妻の名前の欄にバツ印がつけられます。そして妻が入籍した戸籍には、いつ誰と離婚してその戸籍に入ってきたのかまで記載されます。
以上のように離婚後は、夫婦どちらの戸籍にも離婚という身分事項が記載されるのです。
また、離婚後も花子さんが婚姻中の姓である佐藤をけいぞくして使用したければ、離婚成立の日から三カ月以内に、「離婚の際に称していた氏を称する届出」をすれば、離婚後も佐藤姓を使うことができます。
この申請を行う際には、特別な理由は一切必要なく、自由意思によって決めることができます。
一郎さんが気に入らないとしても、花子さんが佐藤姓を名乗ることを阻止することはできません。
何らかの理由で3か月の期限を過ぎてしまったときは、「氏変更許可の審判」の申立を家庭裁判所にしなければなりません。
ただし、この審判は例外的な場合に適用される制度であり、やむを得ない理由がないと許可されません。(事情によって戸籍と異なる氏を使用してきたので変更したい、極端に変わった姓なので変更したいなど)