有責配偶者から離婚請求できますか?
2014年05月12日
有責配偶者から離婚請求できますか?
ケース1
夫が離婚したいと言いますが、別居はかまわないのですが、私には離婚する意思がないのです。
というのも夫には愛人がいるらしく、彼女と再婚したいがために離婚させられるのには納得がいかないからです。
このようなケースでも別れなければならないのでしょうか?
助言
婚姻破綻の原因を作った人間のことを「有責配偶者」といいます。
たとえば、夫の浮気が離婚の主原因だった場合は、夫が有責配偶者ということになります。つまり、今回のようなケースは有責配偶者からの離婚請求といいます。
離婚の協議や調停の申し立てがあった場合、双方に合意があれば離婚は成立しますが、合意がなかった場合は家庭裁判所に訴えを起こすことになります。
日本では以前は、有責配偶者からの離婚請求は認めないという原則をとっていたのですが、最近は、回復の見込みのない破綻した婚姻生活の場合には離婚を認めるというのが裁判所の立場となっています。これは、実質的には完全に破たんしている夫婦が戸籍上だけ婚姻関係を保っていても、当事者たちにも周囲の人間にも何の利益にもならないという判断によるものです。
ただ、その場合も一定の条件を満たさない限り有責配偶者からの離婚請求は認められません。
判例上、一定の条件として認められた例としては、
①夫の不貞行為と婚姻生活の破綻との因果関係が認められない場合
②双方に婚姻の破綻原因について同程度の責任がある場合
③別居期間が相当に長期間でかつ未成熟の子がいない場合 等です。
あなたの場合も、夫からの離婚請求は原則、認められません。
しかしながら、①夫の不貞が、夫婦関係が完全に破綻した後のことであったり、②婚姻生活を破綻させる
原因が妻の側にも十分にあったり、③別居が相当長期(6年~8年)で、未成熟の子がいなかったりすると、夫からの離婚請求が認められる可能性があります。
・夫婦双方に責任がある場合とは
例えば、夫が愛人と同棲を始めて3年後に、愛人に子ができたので離婚してほしいと言ってきたが、夫婦の別居原因が数年前の妻の浮気にあるような場合です。
この場合、夫は有責配偶者ですが、妻も浮気をしていたという事情がありますので、夫からの離婚請求が
認められる可能性は高いと言えます。
ただ、浮気が1回限りのことで、その後は夫婦関係を修復するための努力をしていると認められる場合には離婚が認められないこともあります。
・有責配偶者からの離婚請求が認められる場合
1.別居期間が長期であること(両当事者の年齢・同居期間との対比において相当長期間に及んでいること)
2.未成熟の子がいないこと
3.相手方配偶者が離婚によって、精神的・経済的に極めて苛酷な状態に置かれるようなことが無い事
→しっかり財産分与したり慰謝料も支払っていれば苛酷ではない状態がつくられているのであるから、そういった点も考慮される。