話し合いで決まった事は公正証書にしておきましょう

2014年05月12日

話し合いで決まった事は公正証書にしておきましょう

 

■公正証書で残しておくと安心です

公正証書というのは、公証人が、当事者の申立てに基づいて作成する公文書で、法的な効力が認められています。公証人は、裁判官・検察官・弁護士などの法律実務経験者や一定の資格者の中から、法務大臣によって任命されます。

 

公正証書が利用される最大の理由は、公正証書に与えられる執行力のためです。法的な紛争では、様々な

手を尽くしても効を奏さないときには、最終的に訴訟を起こし、勝訴判決を受けて、金銭債務などの場合、これに基づいて債務者の財産に対して強制執行を行いますが、強制執行を行うためには、その根拠となる

ものが必要です。それを債務名義と呼びます。

債務名義には、判決の他に、和解調書や調停調書などがありますが、公正証書も一定の要件を備えれば、

債務名義となり強制執行を行うことが可能になります。公正証書のこのような効力を執行力といいます。

 

ただし、どんな約束でも公正証書にすれば債務名義となりうるわけではありません。まず、請求内容が、

一定額の慰謝料など金銭の支払いであることが必要です。

また、債務者が「債務を履行しない場合には強制執行を受けても文句は言わない」旨の記載がなされていることも条件です。この記載を執行受諾文言や執行認諾約款といいます。

 

離婚に伴い、公正証書を作成するには、離婚する当事者が一緒に公証役場へ出向いて、公証人に公正証書を作成してもらいます。公証人との事前の相談や連絡は、当事者の一方だけでも出来ますが、公正証書を作成する場合には、当事者双方が出向く必要があります。ただし、代理人に行ってもらうことも可能です。

公証役場では、まず当事者に人違いがないかどうかを確認します。もちろん公証人自身が当事者と面識が

あればそれでよいのですが、多くの場合は、本人確認のために発行後6か月以内の印鑑証明書を持参する

ことになります。

 

公証人は必要な書類を確認した後、当事者から受けた説明をもとに、疑問点があれば質問をし、公正証書を作成してくれます。内容が簡単なものであれば、その場でできる場合もありますが、たいていは別な日を

指定されますから、その日に公証役場へ出向くことになります。指定日には、嘱託した内容の公正証書の

原本ができていて、公証人が読み聞かせた後、当事者に閲覧させ、問題がなければ原本の指示された箇所に当事者が署名押印をして手続きは終了します。

 

公正証書を作成するには、一般的に数万円程度の手数料がかかりますが、この手数料は、財産分与や

慰謝料、養育費などの金額によって異なります。

なお、公証人は、当事者の間に入って調整はしませんので、調整が必要な場合や詳しいアドバイスが必要な場合は、弁護士や司法書士などの専門家に公正証書の作成を代理してもらう方が望ましいです。

 

 

■作成の際に注意すること

通常の公正証書作成と同様に、本人の印鑑証明書などを準備します。

代理人に嘱託してもらう場合には、委任状などの必要書類を準備します。離婚の際に取り決める内容は、

財産分与に関する事項や子がいる場合には養育に関する事項、当事者の一方に離婚原因がある場合などに

支払われる慰謝料などです。

以下に挙げる点に注意して、具体的に記載します。

 

①財産分与

どう配分するかは、個々のケースで異なりますが、事前に当事者間で合意しておくのが理想的です。

不動産をお持ちの場合には、その不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を準備します。

また、車などの登録動産がある場合は、登録証も準備しておきましょう。

 

②養育費

子供が成人するまでの間の費用を負担します。

一括で支払う場合や分割で支払う場合など、個々のケースで異なりますが、支払う金額、支払時期、回数、方法などの詳細も記載するとよいでしょう。

また、養育費に財産分与の意味合いも含まれている場合には、その旨も記載します。

 

③慰謝料

離婚原因を作った当事者がそれによって相手方が被った精神的な損害に対して支払う金銭を慰謝料といいます。

慰謝料の支払いについても金額とともに、支払方法と回数を明記するようにしておきましょう。

養育費と同様、慰謝料が財産分与の金額に含める場合もあります。

そのような場合には、その旨を明記しておくと、後日トラブルとなるのを予防することができます。

 

以上の①~③については、離婚に伴う財産についての取り決めですが、公正証書として残す場合、こうした事項が守られなかった場合に備えて、執行受諾文言を入れることができる、という大きなメリットがあります。特に支払いが長期に渡るような場合には、必ず支払いを受けられるようにするためには、執行受諾文言を入れることが重要です。

また、住居などの不動産の明渡しが予定されている場合や、保証人を立てる場合、担保を設定する場合には、その旨も記載するようにしましょう。

一方、子供と生活をしない方の当事者が子供と会う権利などがある場合には、回数や面会の方法などに

ついても明記しておきましょう。

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