離婚訴訟の最中でも養育費を請求できるかどうか
2014年05月9日
<20>離婚訴訟の最中でも養育費を請求できるかどうか
[相談]
私と夫は、結婚してすでに12年が過ぎています。子供も3人できましたが、
3人目の子供を妊娠している時に夫が水商売の女性と浮気していたことが判明しました。
私は夫に浮気相手と別れるように訴えたのですが、夫はどうしてもその女性と別れてくれなかったので、
私は3人の子供を連れて実家へ帰り、離婚の請求に踏み切りました。
調停は不調に終わったので、離婚訴訟を起こしたのです。
実家での暮らしも決して楽ではありません。3人の子供については養育費が必要ですが、
こういった離婚訴訟が係属している最中でも夫に請求することは可能ですか?
[回答]
まず、当然ながら、父親も自分の子供たちを扶養しなければいけません。しかし、別居していて母親が面倒をみる場合、いつからの分を請求すればいいのか、どうしても明確にはなりません。
一般的な裁判例などでは、一方の親が相手に扶養義務を果たすように請求した時から具体的に養育費を請求することができるとされていて、一度請求されるとそれ以後は時効によって請求権が消滅しない限りその分の養育費を請求することができます。
また、離婚までは考えずに一時的に別居しているというケースだけではなく、離婚を前提として訴訟が
係属している状態でも養育費を請求することができるという裁判例もあります。
結局、あなたのケースでもあなたが夫に対して最初に請求した時点から具体的に養育費を請求することが
できるので、なるべく早く請求した、という事実が証拠として残る内容証明郵便を利用して、夫に養育費を請求しておくべきでしょう。
・再婚すると元夫からの養育費はもらえなくなるのか
子供に対する父母としての扶養義務は一生続くもので、離婚する際に発生する養育費は夫の妻への義務ではなく親から子に対する義務ですから、妻の再婚を理由に一方的に養育費の支払いを拒否することはできません。
妻の再婚相手と子供が養子縁組をしたとして、養親子にはなるので扶養義務などは生じますが、実の父親との関係は失われませんし、子供の養育にかかる費用は、実父・母・養父の三者が共同して負担することになります。
ただし、夫が再婚して新しい妻との間に子供が出来た場合や、失業・病気などで収入が激減した場合など
やむをえない事情がある場合には、夫は妻が再婚しているか、またその再婚相手の経済状況はどうかなどに関係なく、養育費の減額や免除を求めることができます。
逆に、妻の収入が減った場合や子供の大学進学で特にお金が必要になってしまった場合は、養育費の増額を請求することも可能です。
もし養育費の金額について夫婦間で話し合いで折り合いがつかないのであれば、
家庭裁判所に「養育費変更の申立て」をして解決を仰ぐといいでしょう。