財産分与の請求、いつまでできる?
2014年05月9日
財産分与の請求、いつまでできる?
2年以内です。
財産分与=共有財産の清算離婚に伴い支払われる金銭を離婚給付金といいます。財産分与、慰謝料、養育費などがあげられます。
財産分与は婚姻期間中に築いてきた財産の清算、慰謝料は損害賠償なので、両者は本来別物ですが、お金の問題として財産分与の金額に慰謝料を含めることもあります。よって、どちらを問題にしているのかを理解しておくことも必要です。給付金の中でも、離婚時必ず問題となる財産分与は、もっとも重要であると言えます。
法律上、夫婦が婚姻中に築いたお金は夫婦2人のものであると規定されます。
夫だけが働いて妻が専業主婦だったとしても、夫の稼いだお金は夫婦のものとなるということです。これは、夫が収入を得られるのは妻の協力(「内助の功」といわれます)があるからこそであるという考え方があるからです。
すなわち、直接収入を得ていないとしても、夫の得た収入はすべて「夫婦が共同で形成したもの」と判断されるのです。
したがって、結婚中は専業主婦で一切働いていなかったとしても、財産分与を主張することはできます。
離婚する際には、結婚していた間に得た夫婦の共有財産は清算しなければならない。これが財産分与の
基本的考え方なのです。
多くの会社員の家庭では、稼ぎ手である夫が預貯金の名義人となっており、夫婦共有財産としてマンションや車など買い物も夫単独の名義ですることが多いはずですが、これらもすべて財産分与の対象です。
「扶養的財産分与」とは
財産分与の意味合いには、①築いてきた財産を離婚に際し清算するという面と、②離婚によって生活が
不安定になる側を扶養するという面もあります。
専業主婦をしていた女性が離婚するような場合、当然、生活が不安定になってしまいます。しかし、妻が
家庭に専念していたからこそ夫は収入を得ることができていたのだから、離婚後、妻が自力で生活できる
ようになるまでは、夫は妻の生活を保証すべきであるとかんがえられており、これを「扶養的財産分与」
といいます。
扶養的財産分与では、夫自らの固有財産や収入をさいてでも、夫は妻に財産を分けるべきだと考えられて
います。といっても、妻は一生、別れた夫に全面的に扶養されて生活できるわけではありません。金額も
支給期間も制約があります。
一般的な財産分与の額は
現在のところ、一般会社員の家庭で、財産分与と慰謝料を合わせて200万円程度です。もちろん、それぞれの夫婦が築いた財産によって金額は違ってきます。また、通常婚姻期間が長いほど財産も多くなるため、分与の金額もお大きくなります。熟年離婚ほど高額請求が可能ということです。なお、財産分与の額が夫婦共有財産の清算として相当な額でない場合、贈与税が課せられる可能性があります。
財産分与の請求期間は2年
財産分与の請求は、離婚のときから2年以内と決まっています。これを過ぎてしまうと財産分与を請求することはできません。
しかも、請求権がなくなるだけでなく、その財産が請求不可能な状態になってしまう可能性もあります。
(貯金を使われてしまった、マンションを勝手に売られてしまったなど)
不動産は第三者に転売されてしまうと、その第三者に請求することはかなり困難ですし、離婚後2年以上
経ったあとでは、このような問題が起きてもあきらめるしかありません。お金の問題は後回しにせず、
なるべく早く手を打っておくべきでしょう。
なお、財産分与の対象となるのは、あくまで「離婚のときまでに協力して築いた財産」であって、離婚後に離婚した相手が稼いだ財産や、遺産相続などで得た相続財産については対象外です。
財産がどの程度あるのか、ちゃんと調査しておきましょう
離婚で財産分与請求をする場合は、相手が有する財産の状況をしっかりと調べておくかねばなりません。
相手名義の預貯金(銀行・支店・口座番号・金額)、不動産(正確な住所)、株などの有価証券(銘柄・数・取扱い証券会社)などについては要チェックです。
これらを知らずにいると、請求できるものも請求できず不本意な結果に終わることにもなりえます。もっとあるでしょう、と根拠なく詰め寄っても、相手に否定されたらそれまでです。金融機関も、個人情報ということで元配偶者にも簡単には預金事情等を教えてはくれませんし、弁護士の調査も難しいこともあります。
離婚の話し合いをするまでにそれとなく調べておくのが一番でしょう。